相続法改正に向けた動き ④ 可分債権の遺産分割における取扱い

相続法改正に向けた動き ④ 可分債権の遺産分割における取扱い

被相続人の預貯金は、当然、遺産分割の対象となると思っていらっしゃいませんか。実は、間違いです。法律的には、預貯金は、金融機関に対する払戻請求権という可分債権となります。そして、可分債権は被相続人の死亡によって、法定相続分通り分割されるので、遺産分割の対象とはなりません。ただし、相続人全員が、預貯金も相続財産に含めて分割協議することに合意すれば、相続財産に含めて協議することが可能です(実際には、預貯金を含めずに協議がなされることはほとんどありません。)

しかし、現在、可分債権の取り扱いを巡って議論がなされています。
法制審議会では、可分債権を相続の開始により当然に分割されることを前提としつつ、これを遺産分割の対象に含める考え方(甲案)、可分債権を遺産分割の対象に含めることとし、かつ、遺産分割が終了するまでの間、可分債権の行使を禁止する考え方(乙案)について議論しています。この点に関連して、最高裁でも判例変更される可能性もありますので、今後の議論に注目が集まると思われます。